わたしはトリマーの専門学校の学生時代には大手のペットショップでバイトをしたり、卒業してから中堅規模の某ペットショップで働き始めました。
今は独立をしてトリミングサロンを経営していますが、ペットショップで働いたことによってペットショップの裏側を知ることに…
多くの人が気になっているであろう、「売れ残りの犬猫は処分される」という話題について掘り下げてみたいと思います。
ここではペットショップの良し悪しを語るのではなく、元ペットショップ店員からみた事実を書いています。
売れ残りの子犬や子猫は処分される?
結論から言えば、そのようなペットショップはほぼ無い。
子犬や子猫が一番売れる時期はペットショップに入ってきてから1〜2ヶ月ほど。
生後6ヶ月くらいになってしまうと、価格も3〜5万ほどの価格になるので、価格が下がると飼い主さんが決まる子犬や子猫がほとんどです。
ペットショップの販売システムは、月齢が増えていくにつれて価格が安くなっていくシステムを採用しているお店が多いので、月齢が経っても飼い主さんが決まりやすくなっていくという仕組みになっています。
3〜5万の販売価格だと店側としては原価割れをしている可能性が高いですが、赤字でもずっと犬猫が決まらないほうが人件費などのコストがかかるので、採算度外視の販売価格設定をしています。
売れ残ったメスの子犬や子猫の場合はブリーダーに返すこともあるらしい
これはペットショップで10年以上働いていた店長から聞いた話ですが、決まらない犬猫がメスの場合はブリーダーさんに引き取ってもらうという選択肢もあるようでした。
メスは妊娠ができ、新たに商品となる子犬や子猫を作り出すことができるので、引き取ってもらえる可能性もあるようです。
もちろん、ブリーダーさんによって引き受けなかったりすると思うので、売れ残った全てのメスの犬猫がブリーダーさんの元に帰るということではありません。
そこで引取費用などが発生するのかは聞いてませんでしたが、メスの場合はそういった方法もあるようです。
オスの場合は子供を産むことができないので、基本的に引き取ってもらえる可能性は低いようですが、中にはその子も我が子だと思っているようなブリーダーさんであれば、メスであろうがオスであろうが引き取るケースもあるようで、これもブリーダーによってという結論になります。
売れ残った子犬や子猫は価格を下げると売れるが、営業しないと売れない
私が働いていたペットショップでは価格を下げて、検討を悩んでいるお客さんに営業をかけると100%決まっていたので、最後まで売れ残ったといったケースはありませんでした。
しかし、生後6ヶ月でも十分に子犬や子猫だと思いますが、他に展示をされている犬猫と比べるとやはり大きく感じてしまうようで、月齢が経っている子は安くなったとしても普通に展示をしているだけでは決まりにくいです。
日本人の特性なのかは分かりませんが、価格が高くても月齢が浅い犬猫ほど決まりやすく、安くても月齢が経っている子はその子が可愛いとしても決まらなかったりすることもあります。
他にも、安いからなにか問題があるのではないか?と無意識に思うのかもしれませんね。
そのため、販売価格を下げたとしても、店員が営業をかけないと売れなかったりします。
売れ残った子犬や子猫はどんな営業方法で販売するのか
営業と言っても、犬猫を検討しているお客さんと話をしていくと、その飼い主さんに当てはまるような子犬を提案する際に、売れ残っている月齢が経っている子を紹介する感じです。
生後2〜3ヶ月ごろの犬猫というのは体調が安定していないケースがあり、昨日までは元気だったのに突然下痢をしたりして元気がなくなってしまうこともあります。
人の幼児と似ていますが、自分の体力以上に動き出してしまうと体調を悪くしてしまったりしてしまうなどの理由があるからです。
私が働いていたペットショップでは、生後によって子犬や子猫だけでお留守番できる時間というのが決められていて、生後が浅いほど突然体調が悪くなるなる確率が高くなるので、1人でお留守番ができる時間というのが生後が浅いほど短くなっていきます。
生後が6ヶ月を超えている方が体調的に安定していることもあって、1人でお留守番できる時間というのも長くなっているので、働きながら犬猫を飼いたいという方のニーズと当てはまるので、その辺りを営業トークとして使っていました。
「安い理由」と「月齢が経っているメリット」を紹介すると、たいていの飼い主さんは納得してくれる方は多かったです。
無料でもいいから引き取り手を探すケースもある
友人の働いていたペットショップでは半年どころか1年ちかく決まらないケースもあり、その場合は里親募集として無料で引き取り手を探すようです。
無料であれば飼いたいという方は多いので、すぐに決まるそうです。
病気になってしまった子犬の場合
販売前に先天性の病気などが判明した場合、販売することはできないので、私が働いていたペットショップではお店で飼っていました。
中規模な店舗だったこともあって、私が一度だけ本部に行ったときには10頭前後の犬猫がいました。
飼い主さんへ販売してから生体保証などが付いているペットショップも増えてきているので、1年で先天性の病気が判明した場合、交換対応などがされます。
もしかすると、店にいた先天性で売れなくなった10頭前後の犬猫のなかには、先天性の病気が判明して保証期間内に飼えないとなった方が交換した犬猫もいたかもしれません。
ただ、迎い入れて1年近く経ったときに先天性の病気などが判明をした場合は、そのまま継続して飼い続ける方が大半です。
ちなみに、店で飼っている犬は散歩に行ける子は毎日散歩に行っているとのことでした。
ペットショップでは売れ残った犬猫は処分されることはないが…
ペットショップでは売れ残った犬猫が処分されるといったケースは99%無いと思います。
しかし、私が日本の全てのペットショップ事情を把握しているわけではないので、もしかすると一部の悪質なペットショップでは処分などがされているケースは0ではないかもしれません。
ただ、ペットショップで働く人達は基本的に犬猫が好きで働いているので、処分をするなどという発想にはとてもならないと思います。
売上を作れればいいというだけで生体販売をしているペットショップがあったとしても、そういったペットショップは雰囲気で分かると思うので、長い間ビジネスを成立させるのは難しいでしょう。
そのため、私はペットショップで売れ残った猫犬が処分されることはないと思っています。
しかし、ペットショップではないにしてもブリーダーでないのかと言われれば別の話です。
よくニュースなどで取り上げられていますが、パピーミルと呼ばれる劣悪な環境で子犬や子猫をを産ませるだけのブリーダーが問題になっています。
パピーミルで先天性異常などの子犬などは商品にすることがでいないので、処分している可能性は比較的高いと思っています。
パピーミルでは、幼獣の個体は製品、成獣の個体は製品の製造設備とみなされ、いずれも生物として適切に扱われることはない。シリアスブリーダーは個体に掛かる負担を考慮して出産の間隔および一生涯における出産回数などを調整するが、パピーミルでは母体への負担よりも生産性を重視し、一個体あたりの床面積や、環境のメンテナンス費用、食費なども最小限に抑えられている。朝日新聞の『知恵蔵 mini』[2]によれば、犬の場合、繁殖条件の悪さに起因する先天性または後天性の健康問題のある個体も珍しくはない。不法な遺棄事件や多頭飼育崩壊として発覚することもある[2]。生体小売業としてのあり方や動物福祉の面からも問題となっている[3]。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%94%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%AB
パピーミルの存在がそのような噂話に繋がっているのではないか?
個人的にはパピーミルの存在がペットショップと混同をして、一緒くたにされているのではないかと思っています。
一部の悪質なブリーダーのせいで、ペットショップだけではなく愛情をもってるブリーダーさんなど業界全体のイメージが下がっていると思います。
パピーミルの問題は早く解決をしてほしい問題です。
まとめ
ペットショップでは子犬や子猫をを処分するということはありません。
犬猫が決まらなかったら企業努力で解決をしたり、先天性の病気などで売ることが出来ない犬猫に関しては店で責任を持って飼っています。
ペットショップの生体販売に関しては賛否があり、先進国では生体販売自体が禁止されていて、ブリーダーの元でしか子犬を購入することができない国もあります。
最近の日本の流れを見ていると、ペットショップの生体販売が禁止となるようなことは難しいでしょうが、長期的にはブリーダーの元でしか子犬を購入できないといったことになると予想しています。
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